犬を飼うことに壁をつくっていた過去

新型コロナウイルスの感染拡大が続く中、メディアで時折「ペット需要の増加」に関する話題を目にするようになりました。
小学生時代に保護犬を飼育した後、その子が亡くなって”ペットロス”状態に陥ったことのある私は、以降こういった犬に関する話題を意識的に避けてきたように思います。実際、この話も指摘される問題点などを気にしつつも他人事として捉えていました。ただ、心のどこかでまた犬との暮らしを送りたいという気持ちが残っていたのも確かです。
偶然の出逢い

そんなある日、以前妹が勤めていたペットショップをたまたま訪れる機会がありました。そこはいわゆるチェーンではなく、こじんまりとした地元密着型のショップ。どれだけ長く売れ残った子であっても必ずその場所で売り切るお店として、私の中では好印象でした。
その日、店外から何気なく販売中の子犬たちの姿を眺めていると、ふいに1匹のポメラニアンに目が留まりました。

店長さんに聞けば、その子はお店に入ってきたばかりの子だとのこと。昔好きだった絵本に登場する泥棒のあご髭のように、真っ黒な口元が特徴でした。
体はまだまだ小さく、自分が今どこにいるのかも分からないというようなあどけない表情で空を見つめる瞳がキラキラ輝いています。

思わず近づいてガラス越しに目を合わせようとしましたが、向こうはこっちの目線を気にもせず、身体を伸ばしたり、足元に敷かれた床材を咥えるなどしてリラックス状態。
子犬ってこんなに肝が据わっているものなのか…、と驚きをおぼえつつ、思い返せばこれまでの人生で成犬以外の犬との関りがなかったことに改めて気がついた筆者。しばらく眺めていると、私の目線が気になるのかジッとこちらを見つめるようになった子犬にどこか惹かれてしまい、一度抱っこをさせてもらいました。
ケースから出してもらうと、初めて自我が芽生えたかのように子犬は大暴れ。右も左も分からぬ状態のような必死の顔で、甘噛みを繰り返してきます。
犬というのは赤ちゃんの頃から飼えば、性格形成やトイレのしつけなど、何でも人の思うとおりに行くと思っていました。しかし、明らかに第一印象では好かれてもらえなかったことを痛感。
ただ、子犬の意思を感じる力強いまなざしは当時ライターとしての将来に不安を感じ始めていた私に前進する勇気を与えてくれたように思います。
偶然はその人にとって奇跡でもある

生まれたてで不安しかないようでも、小さなマロンの未来をしっかり見据える目つきには、当時の私にないパワーを感じました。
直感で飼育を決めるのが正しいと言えない世の中ですが、私にとってマロンとの出逢いは人生を変える良いきっかけとなりました。
この子の犬生も幸せなものになるよう、これから先も互いに楽しく、充実した日々を一緒に歩んでいきたいです。
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